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Yuyu Obara

 

このツアーは、私のライフスタイルと価値観、そして行動を大きく変えた。高校生の頃から、私は数々のスタディツアーや姉妹校プログラムなどに参加してきた。それぞれ学んだことは大きかったが、私の日常の行動や価値観そのものを変えるほど大きなインパクトを受けたのはこのプログラムだけである。これをきっかけに得た新たな価値観、そして出会った多くの人々はこれからの私の人生においても影響をもたらし続けるだろう。このツアーに参加したこと、それに関する全ての出来事に運命を感じている。

このプログラムに関心を持ったきっかけは、「持続可能性」というキーワードである。SDGsにもあるように、これは現在世界において最も重要な考え方である。今年2018年2月に、「国連本部ニューヨーク研修」に参加した。SDGsがいかにして、どのような意図をもって採択されたのか、そして国連や各機関がどのように取り組んでいるのかについて、実際に国連の各部署で働いている職員の方々からお話を聞いた。しかし実際に地球上でもっとも多いアクターは市民社会。国際機関や政府などの大きな枠組みではない、市民一人ひとりはSDGsの達成にどのように取り組めるのか。この疑問がきっかけで、エストニアスタディツアーに参加したのだ。

エストニアで、私は「足る」を知った。必要以上に消費しない。必要なものだけ、大切に使う。後から考えて無駄になるものは選択しない。それは、エストニアの街、人、ライフスタイル、全てに表れている。街には多くの娯楽施設やショッピングセンターはない。その代わり、自然の中で過ごす時間を大切にする。多くの娯楽施設やショッピングセンターがひしめきあう日本で、商業主義、消費社会に生きる私たちとは真逆の生活を送るエストニアの人々。限界を知らない世界でモノを追い求め続けるか、必要最低限のモノを大切にして自然と共に生きるか、どちらが持続可能で本当に幸せな生活が送れるかは明らかだ。このような価値観が、私がエストニアでのプログラムを通して得た価値観であり、これは現在の私の日常にも大きな変化をもたらした。

ツアー後半の、Baltic Sea Projectでは、大切な出会いがあった。同じグループになった、17歳のラトビア人の女の子である。彼女の服装やもちもの、全てのセンスが良く、一目で友達になりたいと思った。彼女のセンスが良いことを聞いてみると、彼女は、”thrifting”が得意だと教えてくれた。古着などから安くて素敵なものを見つけるのが得意だという。また、彼女のコーディネートの写真をよく見ると、何度も同じ服を着まわしていることに気が付いた。これほどにお金をかけず、モノを大切にしながらもおしゃれなスタイルを確立している、そんな彼女に大きく感銘を受けた。彼女とは現在も連絡をとっており、来年の2月にはラトビアに行き、彼女の家に泊めてもらう予定だ。

ツアー全体を通して感心したのは、ヨーロッパの教育水準の高さである。エストニアで見学した教育施設の充実度、学生のモチベーションの高さ、そして学校では学べない環境教育。BSPでは、年下であるにも関わらず私たちより英語を流暢に使いこなし、自分の意見を積極的に発言する参加者の姿勢。このままでは日本は世界とは戦えない、そんな危機感さえ覚えた。持続可能性の実現にとって、教育は大きなカギである。

エストニアとBSPで学んだことは、現在の私に大きく影響している。私の行動を変えたエストニアスタディツアーの影響を、今後は私だけでなく周りの人、そして日本中の人々に広めたい。来年2019年の夏から、私は一年間ルクセンブルクに留学する。留学先が予想外のヨーロッパに決定したのも、運命だと思っている。エストニアで学んだことを生かし、更に多くの価値観や視点を得たい。

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