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Mirai Takemoto

海外に行きたいな、という漠然な思いで、このスタディー・ツアーに参加することを決めた。このツアーを知るまで、エストニアという国の存在も知らなかったし、調べだしたのもツアーを申し込んでからであった。調べてみれば、おとぎ話のような風景やIT先進国という言葉が出てきて、日本と全く異なる環境のエストニアに行くのが本当に待ち遠しかった。人生で一番長い飛行時間を経て、最初に到着したのがタリンであった。タリンの街並みは、まさに想像していた通りのおとぎ話のようなヨーロッパの街並みで、古くからある大きな協会とその広場を中心に旧市街が広がっていた。中世(だと思われる)の衣装に身を包んだ人がナッツを売っていたり、レストランで働いていたりと観光業が盛んであると感じた。そのような街のあり方は日本の京都と似ているものがあると感じたが、京都に比べると観光客が少ないように思った。街の規模の違いもあるが、ヨーロッパの他の国からすると、全く異なる文化を持つ国の方が興味深いのだろうと改めて感じた。タリンという旧市街があることやタルトゥの建物でも古くからあるものを利用している様子からもエストニアという国がいかにサステイナブルな暮らしを体現しているのかを実感できた。エストニアで宿泊したホステルでは、宿泊者による古着の提供や、キッチン(皿や一部の食料も)、トイレ、シャーワーが共用で、ベットなどの設備も使えるものを集めたようなスタイルであり、モノを最大限に再利用しており、環境に優しい生活スタイルを提供しているのも興味深かった。エストニアでは湿地にも訪れ、小さな子供さえも植物の知識を持っているなど、自然との共存を実現しており、日本でビルに囲まれた生活をしている私にとってその時間は非常にリラックスできる時間であった。無理をせず、自然と共存し、サステイブルな生活を目指しているエストニアでは、日本人が時間に追われて生活しているのに比べて、人々の暮らしの流れも緩やかであり、よりストレスフリーな生活ができているのではないかと思う。エストニアを訪れる際、事前に調べた際に、ロシアとの仲が良くないとあり、殺伐とした雰囲気もあるのではないかと心配していたが、全くなく、安心に過ごせた。一方でロシア人系列の学校が都心から離れたところにあったこと。タルトゥの日本語教室に通うロシア人学生が、古くからある木造の家はエストニア人が使用していて、ブロックやコンクリートで建設されているのはロシア人が使用しているなど、生活区分が分けられていることなどを聞き、歴史による人々への生活への影響は未だに大きいのだと感じた。ドイツで参加したBSPプログラムでは、tiny houseについてのグループに参加した。参加者の多くは先生が多く、いかに自然と共存し、無駄のない暮らしを実現できるか、自分の理想のtiny houseについて論議しており、参加者(エストニア人やドイツ人)がいかにサステイナブルな暮らしを目指しているのかに驚いた。参加者の多くが自然と共存することは共通の課題に挙げていたが、一方で近隣社会とのコミュニティの重要性面で議論が起こった。学生の参加者は、だいたい日本の中学生から高校生がいた。私のグループでは15歳の少女が学生リーダーを行っており、大人の白熱した議論にも突っ込んだりしている光景は日本ではなかなか見かけず、彼らのように年齢を問わず同じ議題について議論する機会というのは、子供と大人のどちらにとっても新しい見解を与えたるなど、現存する課題の糸口発見につながるのでないだろうか。また、参加者の女学生が性の不平等や、王室や天皇について気軽に話していて、私が大学で講義を受けている内容を中学生くらいの学生が常日頃から意識していることにカルチャーショックを受けた。このツアーを通して、エストニアという国について知るだけではなく、日本の学生がヨーロッパの国々の学生に比べて、社会に対する問題意識が低いことを感じた。日本はIT面でも遅れを取っているが、様々な社会問題に対してより若い頃から意識を向けなければならないと思った。またサステイナブルな暮らしを体現しているエストニアが一方でIT先進国であることなどははじめ矛盾ではないかと思っていたが、古き良きものを利用し、新しいものを取り入れるという姿勢は人々の暮らしにゆとりを与えるのだと感じた。

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