EXPEDITION to ESTONIA & BSP
2018
Kanon Kuromitsu
ヨーロッパに行ってみたいというごく単純な理由で、場所も名前も知らなかったエストニアを訪れるスタディーツアーに参加したが、この12日間で見て感じて学んだことは今の自分のライフスタイルに大きな影響を与えた。初めの数日間エストニアの首都・タリンで過ごしたが、古い建物が現在も大切に使われていることやエレベーターが設置されている建物の少なさに驚いた。新しさや便利さを求める日本人が住む世界とは全くの別物で、エストニア人のライフスタイルには持続可能性が基盤にあることをエストニアの街並みから感じた。今回のスタディーツアーのテーマのひとつであった「教育」を知るために、4日間滞在したタルトゥで学校訪問をし学生と交流する機会があった。そこでも私と同じ大学生はセカンドハンドの洋服を着ていたり、休日は(ショッピングをしてお金の消費活動をするかそのためのアルバイトをしている自分の生活とは異なり)勉強に当てる時間が多かったり、彼らのライフスタイルに関心すると共にそれが本来学生のあるべき姿なのだと再認識させられた。日本の学生は勉強熱心であるというエストニア人の偏見を覆してしまったことは逆にこちらが悲しくなった…。電車に乗ればどこへでも行けてありとあらゆるものが簡単に手に入る東京の暮らしと、必要なものは手に入る程度のエストニアの暮らしを比較するとこんなにも消費リズムが異なるのだと驚いてしまう。この発見が、必要なもの・どうしても欲しいもの(それも長く使えるもの)だけを手に入れ、今持っているものを大切にしようという価値観を与えてくれたのだと思う。
タルトゥで数日間滞在したLooming Hostelでの生活は決して過ごしやすい環境ではない反面、学ぶことも多くあった。まず、部屋にゴミ箱がないことがどれだけ不便だったか、これは普段どれだけゴミを捨てているかを思い知らされた。ステイする人が共同で使うキッチンでは余った食材が"take free"というコーナーに集められ最後まで無駄にされないこの取り組みに感動した。10人の女子で毎晩順番争いした2つしかないシャワーやトイレが、何度も修理されて使いこなされた空間だったことも印象に残っている。このホステルはsustainabilityを実際に取り入れた生活を体験できる貴重な場所であったことは間違いない。壊れたら新しいものを買う習慣を無くし不便さを我慢することが身についたのではないかと思う。
エストニアでの滞在で今まで見たことがなかった持続可能な社会の実態や取り組みなど様々なことを吸収し、ライフスタイルの基盤を見直すきっかけになった。またスタディーツアーでしか体験できない内容の濃い12日間を通じて、自分なりに持続可能性について身近に考え実生活に生かすと共に、これからの学びに繋がるヒントを見つける貴重な機会を得られたことに感謝したい。